有給と取るとマイナス査定するブラック企業
前回は「年次有給休暇」について説明しました。就活生の皆さんも有給休暇について理解していただけたと思います。
大企業をはじめとして,労務管理がしっかりした企業では,従業員に有給休暇を取得するよう推奨しています。有給休暇消化率が悪い従業員には個別に指導が入るようなところもあります。
それに対して,中小企業では有給休暇についての認識が低い所が多いです。
さらに,いわゆるブラック企業では有給休暇を取得すると賞与の査定にあたってマイナスに評価されることが多いです。このような会社は,「有休を取得しなかっただけ多く働いたのだからプラス査定は当然」と言っていますが,これは法律上問題ないのでしょうか。
労働基準法に定められた年次有給休暇の取得に対する不利益取扱いの禁止について,労働基準法附則第136条は,使用者は年次有給休暇を取得した労働者に対して,賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないということを規定しています。年次有給休暇の取得を賞与査定のマイナス要素として扱うことはこの規定に抵触することになりますので許されません。
就活生の皆さんは,採用担当者に対して従業員の有給休暇消化率を質問してみましょう。
労働基準法 附則 第136条
使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
Author Profile
-
特定行政書士
早稲田大学政治経済学部卒。立教大学大学院法務研究科修了(法務博士)。帝京大学や神田外語大学他首都圏の大学で企業研究・就職活動講義へ出講経験あり。就活塾の講師としても活躍。ブラック企業や就活塾に詳しい行政書士として朝日新聞・読売新聞の取材やNAC5「夕焼けシャトル」 出演などの実績もあり。
Latest entries
- 就活と法2015年10月24日入社するには身元保証が必要?
- 就活と法2015年8月24日試用期間の過ごし方
- 就活と法2015年5月24日内定中の研修は出席が必要?
- 就活と法2014年9月15日内定辞退をすると違法?注意点は?