試用期間の過ごし方
試用期間とは何か
会社説明会などで、試用期間についてしっかり説明を受けておく必要があります。就活生は手取り額などの待遇面に関心が集中しがちなので、注意が必要です。
試用期間とは、被用者の勤務態度・能力・技能等を見て正式採用するかどうかを判断する期間です。試用期間中といっても、既に会社で働いている訳ですから、雇用契約は始まっています。したがって、本採用しないことは「不採用」ではなく「解雇」となるため、合理的な理由が必要となります。
この場合に要求される「合理的な理由」とは、試用期間中の勤務状態等により、採用前には知ることができなかった重大な事実が判明したような場合です。
試用期間の長さ
試用期間が長すぎたり、短い試用期間を何度も延長したりすると、労働者に対して重大な不利益を及ぼします。試用期間の長さについて、「◯年以上を禁止する」と定めた法律はありません。しかし、判例では、「労働者の能力や勤務態度等について判断するのに、通常必要な範囲を超えた試用期間については無効」としています(ブラザー工業事件 名古屋地裁判決昭 59.3.23)。
契約書によって定められた試用期間を、正当な理由なく延長することは認められません。
特殊な試用期間
契約社員など形態での契約を交わし、一定の「期間を定めた雇用」をすることで、正社員としての適性を見極めようとする企業もあります。この場合、「解雇」ではなく「契約満了」となるため、本採用しないことが簡単に可能になってしまいます。就活生にとって非常に大きな不利益になるケースなので、就活中には説明会なのでしっかりと説明を受けましょう。
なお、能力や適性について良く知っているはずのパート労働者を正社員に登用する際に試用期間を設けることはできません。
Author Profile
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特定行政書士
早稲田大学政治経済学部卒。立教大学大学院法務研究科修了(法務博士)。帝京大学や神田外語大学他首都圏の大学で企業研究・就職活動講義へ出講経験あり。就活塾の講師としても活躍。ブラック企業や就活塾に詳しい行政書士として朝日新聞・読売新聞の取材やNAC5「夕焼けシャトル」 出演などの実績もあり。
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